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九份、台北(台湾) 日本との縁と異国情緒と

 高層ビルやホテル、日本でもおなじみのタピオカジュース店…と、近代的な街並みが広がる台湾の都市部から少し足を延ばせば、ジブリ映画の舞台モデルではと話題を集めた街や、日本ゆかりの旧料亭、異国情緒ある寺院の空気も堪能できる。九份の街並みを探索した後、台北市にある「紀州庵」「龍山寺」を巡った。

 台湾の北端に位置する街・九份。ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の舞台に似ていると話題になり、日本人にも人気の観光地だ。あいにくの雨にもかかわらず、人通りの多い石畳の階段はすれ違うのがやっと。通りに飾られた赤いちょうちんに心をくすぐられつつ、一歩ずつ足を進めた。

 長い階段の中腹に差し掛かると「千と千尋-」の世界にうり二つの茶屋「阿妹茶樓(アーメイチャロウ)」が現れた。店の出入り口には、どういう心持ちを表すものか、何とも言えない表情のお面が三つ。「この茶屋が、映画に登場する湯婆婆の屋敷とされます。お面は、キャラクターの『顔無し』のモデルと言われますよ」。従業員の李艶香さん(40)が、映画との類似点を紹介してくれた。

 お茶と和菓子のセットを注文。李さんが手際よく陶器に茶を注いでくれる。台湾の阿里山で採れた「清香烏龍」は同じ茶葉で5、6回分、楽しめるという。すっきりとした味わいにジャスミンの香りが疲れを吹き飛ばしてくれた。

    *   *

 次に訪ねた「紀州庵」は、和歌山県出身の平松氏一族が1917年に建てた高級料亭を修復し、公開している文化施設。広々とした畳の座敷では観光客が足を伸ばしてくつろいでいた。ガラス戸から眺めると、あふれる緑が目に染みるようだった。

 その庭園にある一本の桜の木は、2017年に紀州庵創建100周年を記念し、和歌山市長と台北市長が植樹したものだという。長い年月を経てつながる日台の友好関係が垣間見える地でもあった。

 月に5千~6千人が訪れるといい、観光ガイドの林家樂さん(29)は「居心地の良い雰囲気が人気。ゆったりとした“秘境の地”でもあります」と力説した。

    *   *

 最後に立ち寄ったのが、1738年創建の龍山寺。早速おみくじを、と思ったら「ちょっと待って」とガイドさん。ここには日本とは違う作法があった。まず、氏名や生年月日、願い事を神様に伝える。次に三日月形の木片二つを投げ、同時に表と裏が出れば、おみくじを引くことができる。表と裏がそろわなければやり直し-。3回投げて、ようやくおみくじの棒を引くことができた。

 ここで再び、三日月の木片。棒に記された番号で良いのか「神様に確かめる」ため、もう一度、投げる必要があるそうだ。今度は一発で表裏。やっと、おみくじの紙にたどりついた。読んでもらうと「健康には気をつけて、目標に向かって頑張りなさい」。入社以降、増え続ける体重を見つめ直せということか…。そうは思いつつも誘惑には勝てず、台湾料理に舌鼓を打った旅でもあった。

 ●メモ
 台湾の台北(桃園)、高雄へは福岡空港から週に計51便を運航しており、片道約2時間半。北九州や佐賀なども含めると、九州各地から週に計70便の定期便がある。観光の問い合わせは台湾観光協会大阪事務所=06(6316)7491。

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