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石原伸晃元自民幹事長VS.泉房穂前明石市長

【激論バトル】「派閥なんか必要ない!」泉房穂前明石市長VS. 「派閥がダメなわけではない」石原伸晃元自民幹事長 安倍派の“裏金事件”巡って忖度なしの大激論

 2024年1月16日、派閥の裏金事件を受け、2回目の自民党「政治刷新本部」会合が開かれました。最大の焦点は「派閥のあり方」ですが、二人の最高顧問・麻生副総裁と菅前首相は派閥について「必要」「必要ない」と正反対のスタンスで、二人の関係は“水と油”とも…。果たして、派閥の問題とは?前明石市長・泉房穂氏と元自民党幹事長・石原伸晃氏が大激論します。

意見が真っ向から対立…泉氏「岸田首相が『解消します』といえば済む話」 石原氏「高い志あれば派閥あっていい」

泉房穂氏のプロフィル

 前明石市長・泉房穂氏(60)は東京大学を卒業後、1987年にNHK入局。その後、テレビ朝日に移籍し、「朝まで生テレビ」などを担当しました。2003年に衆議院議員に立候補し、民主党公認で初当選。2005年まで務めた後、2011年~2023年にかけて兵庫・明石市長を務めました。

「政治刷新本部」最大の焦点は“派閥のあり方”

 1月16日、第2回「政治刷新本部」会合が開かれました。最大の焦点は、「派閥のあり方」。派閥解消には慎重だった政権幹部から「派閥を解消しないと、自民党自体が持たない」という声が聞かれる一方で、派閥に所属している議員からは「派閥の解消は論点がズレていて、政治とカネに関するルール作りこそ必要だ」といった声も上がりました。

前兵庫・明石市長 泉房穂氏

Q.泉さんは、「派閥自体必要ない」というスタンスですよね?
(前兵庫・明石市長 泉房穂氏)
「派閥なんて必要ないです。35年前の『リクルート事件』を受け、自民党自身がまとめた政治改革大綱に『派閥の解消』と謳っています。自分で解消と言っておきながら、35年間も解消せずに、今またそんな議論をしているんです。岸田首相が『解消します』と言えば済む話で、議論する必要すらありません」

自民党の元幹事長・石原伸晃氏

Q.石原さんは派閥の会長経験もありますが、どうお考えですか?
(自民党の元幹事長・石原伸晃氏)
「人が集まる以上、派閥というのは絶対にできます。『派閥』という名前は解消しても良いですが、一国のリーダー、自民党のリーダーを作るために『俺の所に集まってくれ』というのは別に問題ないと思います。自民党の派閥は、古くは『三角大福中(三木武夫・田中角栄・大平正芳・福田赳夫・中曽根康弘)』というのがあり、この全員が総理大臣になりました。要するに、派閥というのは『一国のリーダーに自分たちが政策として信奉する人を推して、実現していこう』というもので、私は意味があると思います。ただ、“株式会社化”しているんです。一番大きな『清和研究会(安倍派)』には“会長”がおらず、“安倍派5人衆”なんて言われています。今必要なのは、『俺が総理をやるから、俺の下に集まってくれ』と言う人だと思います」

Q.石原さんの意見を受けて、泉さんはいかがですか?
(泉氏)
「派閥をやっている方々は、悪気があってやっているわけではないと思います。ただ、『派閥を大事にする政治』なのか『国民を大事にする政治なのか』がポイントです。今回の刷新本部を見ても、国民ではなく派閥の有力者を気にしていますから、“政治のあり方”が問われています。今の派閥というのは、金を集めて配って、金の力にものを言わせて政策を曲げているから、良くないんです。もう一つは、本来は適材適所じゃないような人たちを大臣・副大臣・政務官にゴリ押ししてねじ込んでいるから、まともではない人がそのポストに就いていますので、そういう意味で金とポストの問題を解消すべく、『派閥はいらない』という議論です。一般論として『人が集まったら派閥ができる・できない』の話ではないと思います」

Q.幅広い議論ができるなど派閥にもメリットがあると思いますが、今問題になっているのは、派閥が「裏金作りの組織」というイメージになっていることですよね?
(石原氏)
「『お金を集めて裏金化している』と国民は思っているわけなので、これがどういうことなのかを明らかにして、なぜそんなことが起こったのか、“プールしている”としたら何に使ったのかということを、当事者が明らかにすれば、問題の本質が明らかになってきます。私も派閥の会長をやっていましたが、派閥はお金を配るために作っているわけではなく、私を総理総裁にしようと、そういう形でみんな集まってきてくれるわけです。『派閥は全部いらない、解消だ』と言っても、人が集まればグループは必ずできるわけですから、何のためにグループを作るのかという高い志があれば、私は派閥があっても良いと思います」

麻生副総裁と菅前首相は「水と油」

 「政治刷新本部」は、安倍派・茂木派・麻生派・森山派・無派閥・岸田派・二階派のメンバー総勢38人で構成されています。本部長は岸田首相、最高顧問は麻生派会長・麻生副総裁と無派閥・菅前首相ですが、麻生副総裁は「派閥が必要」、一方で菅前首相は「派閥は必要ない」というスタンスで、派閥あり・なしの議論になりつつあります。

Q.多くの国民からすれば、お金の部分がクリアになれば、政治刷新本部や派閥あり・なしの議論は別になくてもいいと思うのですが…。
(泉氏)
「派閥あり・なしだけの議論になるのは、良くないです。ただ、私としては『派閥は必要ない』と思いますし、あと『企業団体献金』『パーティー』『現金での授受』の3つはやめたほうが良いと思います。他の国では、ほとんど現金での授受を認めていませんから、現金のやり取りを全部禁止して、全て後でチェックできるように透明化すると。派閥だけの議論ではなく、要は『お金の力にものを言わせた政治』から『国民の気持ちを考える政治』への転換だと思います。今の政治の問題は、国民の生活は苦しいのに、政治家ばかりがお金儲けに走っていて、国民のことを考えていないことです。派閥というのは金を集めて金を配る、配るだけではなくて、『本来、国民に使うべき金を、政治家に便宜を図ってくれる企業団体のために使っているのではないか』ということを議論すべきだと思います」

“政治と金”の問題でも激論!石原氏「政治にはお金がかかる」 泉氏「選挙に“あえて”お金をかけているだけ」

「政党交付金」は総額約315億円

Q.泉さんは、「企業団体献金を禁止し、政党交付金だけで十分できる」とされていますよね?
(泉氏)
「フランスでは、かつて大きな問題が起こったときに『企業団体献金』を廃止しました。韓国やカナダも禁止していて、日本でも禁止する前提で作ったのが『政党交付金』です。元はなかった『政党交付金』を税金で315億円も受け取りながら、企業団体献金も受け取り、パーティーでも収入を得て、おまけに裏金でしょう?そんなに多くのお金が必要なわけないですから、もっとちゃんと普通にやろうよと私は思います」

(石原氏)
「一つ訂正させていただきます。政治改革のとき、私はもう議員だったので、議論に加わっていました。そのとき、お金の集め方は、3分の1は自分で集めて、3分の1は企業団体あるいは個人の献金・寄付で賄い、残りの3分の1は政党交付金と、この3種類でやろうと集約しました。政党交付金で選挙あるいは政治を全て行うということは、ある意味で“国のマネージメントの中”に入るわけですから、健全な民主主義が保たれるわけがないと私は思います。今回の問題は、法令順守していなかったことです。では、『なぜ法令順守をしなかったのか』、そして『なぜ清和研究会は会長不在になったのか』…安倍元首相はそれを聞いたときに『やめろ』と言いましたが、テロで亡くなられて、宙ぶらりんになった中で、この問題が出てきました。なぜこんなことが起こったのか、当事者たちは明らかにする責任があります。もう一つ言いたいのは、私は派閥の会長をやっていましたが、お金儲けのためや人にお金を配るために政治なんかやっていません。国家・国民のためです。志が高くなければ政治家なんかやる必要はなく、事業をやって金儲けしたら良いじゃないですか。泉さんのような物言いは、国民を間違った方向に導く議論だと思います」

(泉氏)
「お立場上は、そうおっしゃるんでしょうね。実際は、国民の生活はキツキツです。お金がないのは政治家ではなく、普通の国民です。政治家がしっかりして、苦しい国民の生活を救うのが政治のはずなのに、国民を救うことをしていません。今や国民の負担率は5割で、半分ぐらいを国民が負担して政治家に任せているのに、その政治家が国民のことをせずに、自らのポケットにお金が入るようなことをしているという部分に対して国民は不信感を持っているし、『さすがに今回は、そこを見直してくださいよ』というのが、国民の気持ちだと思います。石原さんは派閥の長をやってらしたし、お立場がおありですから、そういった発言になるのは理解できます」

(石原氏)
「いや、あの…泉さんに理解されたら困るんですけど。そんな共産主義的な物言いは、あれだけ“革新市長”といわれていた方なのにと、正直言って私はびっくりしています。そんな“きれいごと”だけでは、世の中は進まないじゃないですか。泉さんだって議会で自民党の人にガンガンやられて、リコールされたから怒って『自民党けしからん』とおっしゃっている、その立場はわかっていますけど、『派閥の会長をやっていたから、そう言わざるを得ない』なんて、初めて会った人にそんなこと言うのは失礼ですよ(笑)」

(泉氏)
「すみません、失礼な物言いをしまして…喧嘩したいわけではないんです。ただ、私が明石市長を12年やってきた実感として、国民は生活が本当に大変です。ちゃんと政治家が真面目に政治をしてくださいと、国民が負担しているお金で国民のための政治をしてほしいのであって、企業団体からお金を貰うにしても、そちらではなく国民を大事にしてほしいと、私は思います」

石原氏「自分の考えを有権者に伝えるには、かなりのお金がかかる」

Q.石原さんは以前「ミヤネ屋」に出演されたときに、「お金の透明化は大前提ではあるが、選挙や政治活動にはお金がかかるものだ」と話していましたが、泉さんは「政党交付金だけで十分できる」とされています。しかし、政治家が良い政治をして、納得できていれば国民は払うと思いますが、どう思いますか?
(石原氏)
「今の政治は良くないです。私は50年近く自民党の党員ですが、清和研究会の問題は『結党以来の危機』だという認識を持っています。では、なぜこんな問題が起こったのかというと、『選挙制度』だと思います。小選挙区制度によって、50%を取るためにエキスパートである必要がなくなり、誰にでも良い顔しなければならなくなりました。そんな中で、どういうお金の使い方をするかというと、昔と違って100人も200人も秘書はいませんが、10人いたとして、年収400万円として4000万円じゃないですか。ガソリン代もかかるし、小選挙区といっても東京23区より大きい所はたくさんありますから、事務所を3か所置くとして、地方だから安いといっても月10万で年間360万円、ではそのお金を全て国に面倒見てもらうとしたら、もし対立候補が政党交付金を貰えなかったとしたら、どうやっていくんですか?となります。ですから、やっぱり自分の努力、そして国民の皆さんの『こういう人には寄付しよう』という善意によって新しい人が選挙で選ばれてくるというのが、民主主義のあるべき姿だと思います」

Q.泉さんも国会議員の経験がありますが、石原さんの話を聞いて、どうですか?
(泉氏)
「今の話を聞いていても、『政治にお金がかかる』という前提に立っていますが、政策立案そのものに対してお金がかかるわけではなく、要は“あえて選挙にお金をかけている”という話です。普通の家庭でもそうであるように、『ある中でやりくり』すれば良いと私は思います。政治に金がかかるという前提を変えていかないといけないと思います。政治そのものには、そこまでお金はかからないと思います。ちゃんと政策を作るための制度も整っていますし、そういったスタッフもたくさんいますから。何度も言いますけど、政治ではなく『選挙当選』のためにあえて数多くの人を雇い、たくさんの事務所を維持してやっているだけであって、それはお金持ちの方はご自由ですけど、そのために金を集めなきゃいけないという政治を変えていかないといけないと、私は思います」

(石原氏)
「選挙にかかるお金は法定選挙費用の中で賄われていますので、お金がない人・ある人問わずいろんな人が新しく国政でも地方でも出ていくためには、広くお金を集められる制度というのは、私は絶対に必要だと思います」

( 泉氏)
「政治家が胸を張った仕事をしたら良いと思います。ちゃんと誰からいくらお金を貰って、どこで何に使って、どういう政策をしているかということを、もっと胸を張った政治をしてほしいと思います。お金についても1円からオープンにして、お金ではなく政策や言葉の力で選挙に勝てるような政治家が増えたら良いと私は思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年1月16日放送)

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