ニュートンのリンゴの木とメンデルの葡萄
2010年02月03日(水)
東京の小石川植物園に「ニュートンのリンゴの木」が展示(植栽)してあります。
リンゴが木から落ちるのをヒントに「万有引力の法則」を発見したという逸話のもとになったリンゴの木です。
イギリス、リンカーン州のニュートンの生家にあったリンゴの木から接ぎ木された苗が1964年に日本に送られて来ました。
しかし、この苗は高接病というウィルス病に感染しており、小石川植物園が大変な苦労を経て、1980年に得たウィルス除去株を植栽したものです。
また、「ニュートンのリンゴの木」に隣接して「メンデルの葡萄」があります。
近代遺伝学の基礎を築いたメンデルは、チェコスロバキアのブルノの修道院の牧師として、その庭でエンドウなどを栽培研究し、遺伝の基本法則を発見しました。
「メンデルの葡萄」もこの修道院にあり、メンデルが実験に使ったとされる葡萄です。
当時、ワイン製造は重要産業であり、メンデルは葡萄の品種改良を依頼され、いくつか品種を集めていました。
メンデルの葡萄はそのうちの一つです。
小石川植物園にあるのはその分株で、1913年、園長でもあった三好学教授が修道院の遺跡を訪ねた際に分譲を依頼し、翌年、送り届けられたものです。
この葡萄は、その後当地では枯死し、小石川植物園からの苗木が里帰りしたそうです。
それぞれにドラマがあり、由緒あるこの植物2種は子どもたちに夢を与え、科学する心を育てる貴重な植物です。
楽しみながら学べる植物園を目指す東山植物園にとっても是非欲しい植物で、この1月に、小石川植物園のご好意により、挿し木および接ぎ穂用の枝を分譲していただきました。
出来るだけ早く展示できるようにしたいと思いますので、みなさま、楽しみにしておいてください。
【小石川植物園からのメッセージ】をご紹介します。
「偉大な発見に対して心ある人々から大切にされてきたリンゴの木、英国から日本に着いた時、高接病のため焼却されるところを隔離栽培しながら病気を治し救った研究者や技術者の心意気・先人・先輩諸氏達の思いを汚すことなく、次の時代を生きる子供達に引継ぎ大切に育てて欲しいものです。」
植物園長
舟橋 和時