「原口一博」衆院議員が明かす「私が“がん闘病”を告白した理由」 ウィッグ姿への中傷で痛感した“患者の現実”、「当初は“逃げよう”と思っていた……」

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頭をくしゃくしゃと

――抗がん剤治療の激しい副作用に耐えながら政治活動を続けられました。では、なぜ病気を公表しようと思ったのでしょうか。

原口 当初は、そこまで公表しようとは考えていなかったのです。というのも、がんのステージがわかり、きちんと治療すれば治ることがハッキリ判明した。さらに今年は、衆院の補選や、統一地方選がある。私が病気を公表することで、選挙にも影響が出るかもしれない。そんな話を主治医にしたら、「この病気で苦しんでいる人たちがたくさんいる。病気自体もそうだが、周囲の目もそうだ。よければぜひ公表してこの病気について発信してほしい」と。その時はあまりピンと来なかったのですが、同じ病気に苦しむ人たちを励ますことができるなら、ぜひ力になろうと思い、タイミングを見定めて公表することを決意しました。

 ところが、その矢先にアクシデントが発生したんですね。4月10日の決算委員会で、私が質問に立ち、松野くん(※松野博一官房長官のこと。松野氏は原口氏の松下政経塾の後輩にあたる)に質問したのです。ところが、返ってきた答えが、全く期待外れなものだった。その時、私はいつもの癖で、頭をくしゃくしゃと掻きむしったんです。実は当時、すでに抗がん剤治療の影響で毛髪がなく、ウィッグを着用していたのですが、そのことをすっかり忘れていた。おかげでウィッグがずれてしまい、それがスポーツ紙に書かれてしまった。

故・安倍元総理からのメッセージ

――当時の様子はネットを中心に拡散し、ものすごい反響がありました。

原口 この時、たくさんの励ましの言葉ももちろんいただいたのですが、それに匹敵するくらい、差別的な発言も受けました。「ウィッグもズレているが、発言もズレている」「病気ならやめた方がいい」などなど……。病気や治療自体よりも、こうした、患者さんへの差別的な視線があることを、身をもって知ることになりましたね。先生が言っていたのはこういうことか、と。

――そして4月25日には、正式に病名と、闘病中であることを発表されました。

原口 僕は、これまでさまざまな経験をしてきました。8年前には、院内感染で生死の境を彷徨った。この時は本当に苦しく、死ぬんじゃないかと思ったほどでした。その2年後には、右腕と右足を骨折し、再び入院。国指定の難病である「骨形成不全症」であることも公表しました。その際には、昨年亡くなった安倍晋三元総理大臣が「僕も難病を抱えている。一緒に頑張りましょう」という励ましのメッセージを送ってくださいました。一方で、「人から世話をしてもらっている人が、人のお世話をできるわけがない」という心無い言葉も浴びました。

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