鳴き声も違う。オオカタカケフウチョウがギャーギャー鳴くのに対し、フォーゲルコップの鳴き声は愛らしいものだ。
スコールズ氏とナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーであるレイマン氏がフォーゲルコップの変わった鳴き声に初めて気づいたのは2009年のことだった。その鳴き声は「私たちが親しんできたカタカケフウチョウの鳴き声とはまったく違っていたのです」とスコールズ氏は振り返る。
2016年、別の研究チームが博物館にあるカタカケフウチョウの標本を調べ、遺伝的な違いを見つける。この発見は異なる種が存在することを示唆するものでもり、二人の確信は強まった。
スコールズ氏とレイマン氏は、さらに証拠を見つけるために野外調査を始めた。研究チームは森の中のベースキャンプに何カ月も留まって観察を続け、オオカタカケフウチョウとフォーゲルコップカタカケフウチョウの身体的な違いを記録した。例えば、フォーゲルコップが飾り羽を広げたときの形はオオカタカケフウチョウとは違うことが判明した。「はっきりとした違いが、決め手になりました」とスコールズ氏は語る。
鳥の楽園に踏み入る人
ニューギニア奥地の森林は、まだ開発が及んでいないことから、生物多様性に富んでいる。新種の極楽鳥がさらに発見されるのではないかと研究チームの期待は高まっている。
スコールズ氏によると、この10年で、極楽鳥観察は「夢のバードウォッチング」として注目され、「責任あるエコツーリズム」も解禁された。(参照記事:「極楽鳥の世界へようこそ 第1回 いちばん派手!楽園から来たオオフウチョウ」)
スコールズ氏は、極楽鳥のすむ地域が、これからも今のまま残されることを願っている。「以前は、森で人を見かけるのは5年に一度くらい。しかも、たいてい怖いもの知らずのバックパッカーでした。でも、今はグループで人々がやって来ては、野鳥観察に夢中になっています」。2人は今後もニューギニアで極楽鳥の研究を続ける予定だ。「ティムと私の仕事は長期戦ですから」とスコールズ氏は付け加えた。
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