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この国はどこへ コロナの時代に 総務省接待を問う 原口一博・立憲副代表 官邸支配のカビ、官僚侵食

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記者の質問に答える立憲民主党の原口一博衆院議員=国会内で2021年3月16日、玉城達郎撮影
記者の質問に答える立憲民主党の原口一博衆院議員=国会内で2021年3月16日、玉城達郎撮影

旧民主党から脱皮「人間の尊厳」へ回帰

 「NTTの接待所? そんなのどこにあるんですかね。私が大臣だった頃、企業とあんな会食をするなんて、絶対にありませんでしたよ」。旧民主党政権で総務相を務めた立憲民主党副代表の衆院議員、原口一博さん(61)はぶぜんとした表情でそう話す。

 NTTや放送事業会社「東北新社」が総務省幹部らを接待していた問題が非難されている。東北新社の会食には菅義偉首相の長男が同席。NTTはグループの関連会社が運営し「接待所」とも呼ばれるレストランで、総務省の政務三役も招いていたという。通信行政のトップにいた元総務審議官、谷脇康彦氏が辞職し、主要幹部が軒並み処分されるなど、総務省は大混乱に陥っている。

 国会で接待問題の集中審議が行われていた中、永田町に原口さんを訪ねると、その顔は怒りと困惑に満ちていた。「ちょっとね、信じられない。名前が出ている官僚は私が総務相だった当時、多くが課長クラスで優秀なエースたちでしたよ。特に、谷脇さんは日本のサイバーセキュリティーを立ち上げた人だ。彼らほどの官僚がなぜ、あんな飲食ごときで倫理規程違反を犯したのか」

 世界の情報通信分野では今、米国の巨大IT企業グーグルやアップルなどの「GAFA」をはじめ、中国の華為技術(ファーウェイ)がしのぎを削っている。技術革新や覇権争いの動きはすさまじい。総力を挙げて取り組むべきこの領域で、日本の担当行政はまさに総崩れ状態だ。「彼らがこぞって通信行政を離れたら、どうなるのか。かなりまずいと思う。ただでさえ日本は世界から10年は遅れているというのに」

 いったいなぜこんな事態になったのか。原口さんは旧民主党政権が終わった頃、ある官僚が「何でもかんでも官邸に報告しなければならなくなりました」と漏らした言葉が耳に残っているという。当時はピンとこなかったが、だんだんその意味が分かるようになった。「私も予算委員会の最前線に立っていたから実感するが、明らかに政府からの情報が出てこなくなりましたよ。『モリカケ(森友学園・加計学園)』や『桜を見る会』にかかわる資料はもちろん、財務省の公文書改ざんの経緯を記した『赤木ファイル』もそうです。官邸が許可しない限り、何もできなくなっているようだ」

 最近、ある官僚が霞が関の現状を「ヒラメゾンビ」と呼んだという。「官僚たちはヒラメみたいに上を向いて、その目はトロンと…

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