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金田伊功氏を偲ぶ 個性的なアニメ作画「金田パース」「金田ジャンプ」「金田ビーム」

7月21日は2009年に57歳で逝去したアニメーター、金田伊功氏の命日です。「金田パース」「金田ジャンプ」「金田ビーム」などと呼ばれる個性的なアニメーションの作画は、後のアニメ作品にも大きな影響を与えました。

金田伊功氏がアニメに与えた影響

『機甲創世記モスピーダ』 画像はブルーレイBOX(松竹)
『機甲創世記モスピーダ』 画像はブルーレイBOX(松竹)

 7月21日は、個性的な演出でアニメの歴史に大きな影響を与えたアニメーター、金田伊功(かなだ・よしのりorいこう)氏の命日です。1970年代から80年代半ばにかけて、緩急をつけたアクロバティックなアニメーション表現や、ビシッと両手を広げた独特なポージング、パースを強調したレイアウトなど、個性的な作画スタイルで一世を風靡しました。子供の頃から知らず知らずのうちに金田氏の作画に影響を受けていたライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。

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 2009年に金田氏が急性心筋梗塞により57歳の若さで旅立たれてから、もう11年が経過しています。アニメの絵は年々美しく、動きは鋭く華やかに進化していますが、ふとした折りに「あ、この動き金田さんっぽいな」と感じることがあります。それだけ、金田氏が生み出した演出は個性的で、現在のアニメにも影響を与え続けているのでしょう。

 さて、筆者が金田伊功という名前を意識したのは、1990年代半ばでした。金田氏が雑誌類で盛んに取り上げられていた1980年代半ばの時期はまだ小学生で、アニメを誰が作っているのか意識してはいなかったのです。

 当時大学生だった筆者は、ある日、大学の先輩から大量のロボットアニメのオープニングが収められたビデオテープを入手しました。島本和彦先生のマンガ『アオイホノオ』でも店頭で流れているアニメのオープニング集を若かりし頃の庵野秀明氏たちがずっと見ているという場面がありますが、おそらくアレと同じ物のはずです。どこかで誰かが丹精込めて作り上げたビデオが、ダビングにダビングを重ね、10数年の世代を経てなお、密かに流通していたのです。もちろん違法な品物ですが、当時はまだ著作権に関してはまだおおらかな時代でした。またロボットアニメのオープニングを見たければこのビデオ以外に手段はほとんど存在しないという現実的な問題もあったのです。現代からではなかなか考えられない話だと思います。

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