石原伸晃内閣官房参与 就任わずか8日で辞任…代表を務める政治団体がコロナ助成金受給で批判

スポーツ報知
石原伸晃内閣官房参与

 自民党元幹事長の石原伸晃内閣官房参与(64)が10日、参与を辞任した。代表を務める政治団体が新型コロナウイルス対策の雇用助成金を受給したことを巡り批判を浴びていた。岸田文雄首相(64)が官邸で記者団に明らかにした。受給額は約60万円だった。石原氏は10月の衆院選で落選し、今月3日に観光立国などを担当する参与に就任してからわずか8日のスピード辞任で、首相に痛手となった。

 岸田氏は官邸で記者団の取材に応じ、石原氏から「公正な手続きにのっとった受給だが、混乱が生じることで首相に迷惑をかけることは本意ではない」と辞任の申し出があったと明らかにした。自身の任命責任については「就任から短い期間でこういうことになり混乱は否めない。その点は申し訳なく思う」と陳謝した。一方で「石原氏の経験、経歴は、政策を動かすには大変大きい意味があると判断した」と起用に問題はなかったとした。

 自由民主党東京都第8選挙区支部の報告書によると、20年4、5月分で3回にわたって計60万8159円を受給。石原氏の事務所は「所管官庁に確認の上、必要な書類を添付して適正に申請し、審査いただいたと承知している」と回答していた。

 しかし、この日になって党内からも“最後通告”とも言える発言が相次いだ。世耕弘成参院幹事長(59)は助成金受給が不適切と明らかになった場合は「若干適切ではないのではないか」と指摘。福田達夫総務会長(54)は助成金は国庫が厳しい中、一生懸命工面しながら実施した事業とし「大事なお金だ。自分はそれを使う判断はしない」とした。

 参与は首相から求められた場合、アドバイスなどを行う役割がある。非常勤で、勤務時間にかかわらず日給2万6400円が支払われる。身分は一般職の国家公務員だが、公用車の使用も可能で執務できる部屋もある。石原氏は「観光立国その他特命担当」として任命された。

 10月の衆院選で東京8区から立候補して落選し、比例復活もできなかった石原氏の起用について、当初から「失業対策」などの批判があった。石原氏は国土交通相や政調会長などの要職を歴任。岸田氏とは盟友関係で、総裁選でも支持していた。

 ◆石原伸晃氏の経過

 ▼10月31日 衆院選東京8区で落選、比例復活もならず

 ▼11月11日 石原派会長辞任

 ▼12月3日 政府が内閣官房参与に起用する人事を発表

 ▼6日 岸田文雄首相から官邸で辞令を交付される

 ▼8日 新型コロナウイルス対策の雇用調整助成金60万円の受給が報じられる

 ▼10日 辞任の意向を伝える

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