「最後の楽園」、そのタイトルに込められた意味
──嶋田さんはそうした極楽鳥の世界初公開ショットを多数おさめた写真集『LAST PARADISE』を出されるわけですが、どこがオススメのポイントか教えてもらえますか。
どれもこれもなんですけど(笑)。一番最初に出てくる、オジロオナガフウチョウが頭を上下させて喉を膨らませて求愛するという場面の写真は、今までどこにも出てきていない、世界初の写真ですね。そういう、今までになかったものがぎっしりと詰まった写真集ですね。
あとはカマハシフウチョウも。鎌のようなくちばしをもっているからカマハシフウチョウっていうんですけど、これは肩の飾り羽を出して変身しているところです。十徳ナイフみたいに色々な所から色々な物がでてくるんですよ。そのユニークさと美しさは、見事なものです。
そして、付録的な感じですが、人物や貴重なランの写真が入っているのも見どころです。ニューギニアには800の部族がいて、800の言語があって、800の文化があるといわれている。祭りの写真なんですけど、全部衣装とか化粧とかが違うんですよ。
彼らは極楽鳥の羽根を飾りに使うんです。極楽鳥の羽根を身につけることで、森の精霊と一体化できるという風に信じている。日本では「八百万の神」といったりしますけど、パプアニューギニアでは「精霊」なんですよ。
それと、ニューギニアのランの写真もいくつか収録しています。数は少ないのですが、愛好家の方に楽しんでもらえる内容だと思います。
──最後に、写真集のタイトルの『LAST PARADISE』がどういう意味を持っているのか、教えてください。
2つ意味があって、1つは極楽鳥たちにとっての「極楽」。パプアニューギニアは天敵が少ないんですね。もう1つは、パプアニューギニアが僕にとっての「極楽」だ、っていう意味です。
(第2回「鳥小屋を愛した少年が、ニューギニアの戦士たちと極楽鳥を追うまで」に続く)
また、東京都写真美術館で展覧会「嶋田忠 野生の瞬間 華麗なる鳥の世界」が2019年7月23日(火)から2019年9月23日(月・祝)まで開催予定。こちらも合わせてご堪能ください!