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MAZE WORLD - INTERVIEW

――アルバム『NEW FRONTIER』とそれを引っさげたツアーで第一章を締めくくりました。第一章の手応えはいかがでしたか?

「最高でした!ライブも含めて、いいプロジェクトだったなと思います。ツアーに関しても、“やっぱりライブしか勝たん!”って思いましたしね(笑)。自分自身を一番表現できるのはライブですし、ファンの人たちにも直接会えますから。欲を言えば、早くコール&レスポンスがやりたいですけど、全国ツアーって最高です。ご当地ものを食べたり(笑)、それぞれの土地のスタッフの方と仕事をしたり。会場ごとに音も空気感も違うので、それを味わえたのもよかったですね」

――今回のツアー、手越くん自身は、どんなところにこだわって作り上げたんですか?

「今回は、とにかく歌って踊るっていうパッケージをやりたいというのが、まずありましたね。それに加えて、僕は結構世界観を作り込んだライブが好きなので、“NEW FRONTIER”というタイトル通り、新しい世界に踏み出していくことを表現したんですよ。そして、そこにゲームっぽさも入れたりしていたので、僕の好きなことを詰め込んだ感じですね。ライブのエンドロールもゲームのエンドロールっぽくしてましたし、オープニングの映像にはお城が出て来る。実は、それもゲームは城のイメージがあるからなので(笑)」

――観客のみなさんは、あのオープニングの映像を見ることによって“NEW FRONTIER”の世界に染まれますもんね。

「そうですね。僕はエンターテイメントの究極って、やっぱりディズニーの世界とかだと思うんですよ。あのテーマパークに一歩踏み込んだ瞬間、昨日までの悩みも1回忘れられる。しかも、見るものが全部パワーがあるので、園内にいるだけで満たされるんです。1日中歩いているのに元気になって帰れますからね。だから、ディズニーみたいなライブをしたいと、僕はずっと思っています」

――実際、お客さんもみんな笑顔になっていましたよ。あ、そういえば、ちゃんとやったじゃないですか、「LOVE SENSATION」!(笑)以前のインタビューで、「しんどすぎるからやらないかも」って言っていたので心配していたんですけど(笑)。

「あの曲をやるために身体を作りました(笑)」

――ちゃんと歌いきるために(笑)。

「はい。でも、今だから言いますけど、マジでキツイです(笑)。「LOVE SENSATION」を含む最後の4曲くらいは、ずっと歌いながら踊るんですよ。あのセクションは本当にキツイ。ダンサーとかもはけたとき死にそうになっているらしいですからね(笑)。だから、僕も照明が暗くなった間に深い呼吸をして、一生懸命回復に努めていました(笑)」

――そうだったんですか(笑)。でも、結果的に盛り上がりましたよね。

「そうですね。あそこは結構チャレンジングだったので、僕も楽しかったです」

――バンドやダンサーとの呼吸もピッタリで。

「バンドを入れた最終リハは4日連続でやったんですよ。バンドの人たちも、いろいろなアーティストから引っ張りだこのスーパーバンドですし、ダンサーもたくさんのアーティストのバックで踊っている子たち。そんなみんなが“楽しい”って言ってくれたのが、僕は何より嬉しかったですね」

――現場の雰囲気もよかったんじゃないですか?手越くんは明るい人なので。

「確かに(笑)。現場はピリピリしてないですし、僕とバンドマンやダンサーとの距離も近いですからね。僕は昔からそういうタイプ。バックを務めてくれる子たちと、よくごはんに行ってました。一応僕はフロントに立つ立場ですけど、だからといって僕が偉いわけじゃないんですよ。みんな、一緒に作品作りをする仲間。アメリカの映画に出ているエキストラって、“こういうふうにやりたい”って、すごく自分の意見を主張するらしいんですね。僕は、そういうやり方をしたい。スタッフひとりひとり、演者ひとりひとりが自分で考えて“NEW FRONTIER”という船に乗ってくれてないとイヤなんですよ。そう思って作品作りに取り組んでいるので、周りのみんなも楽しんでくれているんじゃないですかね。すごくいいチームになっていたと思いますから」

――そういう部分も含めて、今回のツアーは、とてもいい第一章の締めくくりになったんですね。

LIVE TOUR 2022『NEW FRONTIER』TOUR FINAL

2021年後半から駆け抜けてきた手越祐也の集大成となる全国ツアー「LIVE TOUR 2022NEW FRONTIER』」のファイナル公演が、429日東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催された。

LIVE REPORT

――そして、第二章のスタートを飾るのが新曲「MAZE WORLD」。繰り返されるフレーズが印象的で、聴いていてクセになるというか、まさに迷宮に入り込んだような気持ちになりました。この楽曲を第二章の1曲目に選んだ理由を教えてください。

「『NEW FRONTIER』のツアーでも僕はガシガシ歌いながら踊ってましたけど、やっぱりカッコよくて攻めていて、尚且つ今っぽさもある。そういう曲をやりたかったんです。ビリー・アイリッシュとかもそうですけど、シンプルだけどリフレインが残る曲って、最近多いですからね。それに加えて、強い意志を感じさせて訴えかけるものがある曲のほうがいい。そう思ったので、候補曲はたくさんあったんですけど、僕は最初に聴いた瞬間から、“この曲がいい!”って言いました」

――重低音がずっと鳴っているので、それが身体を揺らす感じがしますし、雰囲気的にもミステリアス。夏の夜の夢みたいなテイストの楽曲だなって思いました。それだけに手越くんの歌も妖しさがタップリですよね。

「以前も言ったと思いますけど、僕は、考えて歌うタイプじゃないんですね。レコーディングブースに入って、歌いながら、どの歌い方でいこうかなって考える人なので。でも、今おっしゃっていたように夜のイメージはあると思うんですよ。そこからMVの世界観も含めて考えたとき、僕の中では、今回はこういう歌い方に着地したんです。サビに関しては、最初は全部地声で行こうかなとも思ったんですよ。ただ、そうするともっとロックな感じになるじゃないですか。これくらいのキーだと声を張りますしね。それだと妖しさは出ないなって思ったので、地声とファルセットを織り交ぜて歌いました。僕と同じように歌おうとしている男子諸君がいるとしたら、かなり難しくなっちゃいましたけど(笑)」

――その地声からファルセット、ファルセットから地声への切り替えが、ものすごくスムーズですよね。

「ああ、そこは自信があるんですよ。10代半ばくらいから、ずっと練習していたことなので。だから、ファルセットを行き来するのが僕は結構好きなんです。「シナモン」も<むなもとに>の<む>だけ地声で<なもとに>はファルセット。そして、そこからまた地声に戻るっていう歌い方をしていますから。でも、やってみると意外と難しいと思いますよ」

――自然に歌えるのは手越くんだからだと思います。それに語尾のねっとり感も、手越くんならでは(笑)。

「ねっとりしてますよね(笑)。レコーディングしながら、いろいろもんでいくんですよ。“もっとディストーションボイスのほうがいいかな?”とか、“いや、ねっとりしゃくりながらビブラートのほうがいいかな?”とか。これでガシガシドラムとかエレキが入っていたら、たぶん全地声でスパークして歌っていたと思うんですよ。でも、この曲はそうじゃなくて、わりとEDM系。だから、声を張るのは違うなって思ったんです」

――アレンジ次第では、もっとロックに転ぶこともできる曲ですもんね。もちろんコーラスも手越くん自身がやっているわけですが、昔から歌うだけじゃなく、コーラスアレンジも自分でやっていたじゃないですか?それって、どこにハモリを入れるかも含めて自分で考えるんですか?

「そこは話し合いしながらですね。まず、“ここにこういうコーラスがあったらいいんじゃないか?”っていう土台作りはしてもらうんですよ。それで実際に僕がレコーディングに行ってから、“ここはもう少し重ねたいな”とか、“ここはいらなんじゃない?”、“ここは足そうよ”っていう感じで録っていきますね。でも、それを全部使うわけじゃなく、そこから引き算していく。それも、どうしたら一番楽曲を生かせるかを考えて判断します」

――それだけに歌い手は手越くんひとりなのに、1曲の中にすごく変化があるし、厚みも出ますよね。

「そうですね。結構僕がアイディアも出しますから。例えば落ちサビの<あぁクソ食らえだ>のところなんかは、“ラップも入れつつ、ウイスパーボイスも入っていたらカッコイイんじゃない?”って言って録ったりしたんです。それも感覚でやっていく感じですね」

――「MAZE WORLD」は、歌詞の世界観も現代的。今の世の中に対するメッセージが込められていますよね。

「歌詞に関しては捉え方次第なんですけど、今の世の中って全てがデジタル化されているじゃないですか。SNSにしてもリモートにしても。そうやってすごく便利になっているはずなのに、心は満たされていないですよね。デジタル化する前より今のほうが、みんな悩みが多いですから。男女の駆け引きとかもデジタル化されて、気づいたら好きな人に“愛してる”とか“ありがとう”も言えなくなっちゃってる気がするんですよ。だから、“そこから解き放たれて、シンプル化すればいいんじゃない?”って言っているのが、この楽曲。全てがデジタルで覆われた時代だけど、一番大事なのは人間の生身の部分。その生身のところでつきあったり戦ったりしていこうよっていう捉え方で僕は歌っていますね」

――コロナ禍になって、ますますデジタル化が進んでいるところがありますけど、実際にライブを目の前で見ると、やっぱり生身同士で向き合うのが一番だなって思いますからね。

「そうですね。どんなにオンラインが充実したり音がよくなったりしても、やっぱりオフラインには勝てないと思います。僕はスポーツも大好きなので海外のサッカーの試合とかも見ますけど、お客さんがいないときといるときを比べると、選手のパフォーマンスが全く違うんですよ。それくらいブーイングや歓喜の声って大事。それはエンターテイメントにも言えることだと思いますね」

――手越くん自身も、5月11日、12日にパシフィコ横浜 国立大ホールで“スぺプラ手越FES.2022”を開催。BLUE ENCOUNT、KANA-BOON、キュウソネコカミ、KEYTALKと豪華なバンドが参加しますが、どんなフェスにしたいと考えていますか?

「まずは“スぺプラ手越~Music Connect~”という番組がつないでくれた縁で、こういったフェスができるのが嬉しいですね。それぞれがフェスのメインを務めるようなバンドですし、番組にゲストで来てくれたときに、僕もめちゃめちゃ曲を聴いたんですよ。だから、いちファンとして、みなさんのパフォーマンスが生で見られるのも楽しみです(笑)。それに、こうやって一緒にやるからには、たぶん僕とセッションする曲もあると思うんですよ。番組では1対1でしたけど、今回はバンドの中に僕が入れる。それが本当に楽しみですね。一度YouTubeの企画でTHE ORAL CIGARETTESとセッションしたんですけど、そのときもすごく楽しかったですし、バンドの中に僕が入ることによる化学変化も生まれると思う。そういう部分にもワクワクしています」

――どの曲を手越くんとセッションするかも楽しみですしね。

「そう思ってくれたらいいですね。僕自身がLArcenCielが好きだからわかるんですけど、バンドが好きな人の中にはアイドルのことをミュージシャンとして認めていない人もいると思うんですよ。“本当の音楽をやっていないでしょ?”って思われているところがある。僕は、それが昔から悔しかったんです。全然口パクなんてしてなかったし、歌って踊って、“いいエンタメをしているのにな”って。でも、ひとりになってHYDEさん主催の黒ミサや松崎しげるさん主催の黒フェスに出させていただいて感じたのは、今まで僕のエンタメに触れていなかった人には、パフォーマンスを見てもらうのが一番早いなっていうこと。見てもらわなかったら始まらないですからね。そういう意味では、僕のファンの人は、今回のフェスでいろいろなバンドを見て好きになる人も出てくると思いますし、それぞれのバンドのファンの人は踊りながら歌う僕のことを新鮮に感じてくれると思うんです。しかも、僕はステージには絶対の自信を持っているので、バンドファンの人の評価も楽しみですね」

――アーティスト・手越祐也に出会う、いいきっかけの場になるかもしれないですね。

「そうですね。それで今回参加してくれるバンドのファンの人が、次に僕がツアーをやったとき、ひとりでもふたりでも来てくれたら嬉しいです。でも、そのためには僕がいいパフォーマンスをしないとダメなので、他のバンドのみなさんに負けないようにやりたい。一緒に音楽シーンを作っていく仲間であり、同じステージに立つ以上ライバルでもあるので、いい緊張感といいわちゃわちゃ感が出せるようにしたいと思っていますね」

(おわり)

取材・文/星野 櫻
写真/encore編集部

Release Information

手越祐也「MAZE WORLD」

2022430日(土)配信
フォーライフミュージック

歌詞はコチラ

手越祐也『NEW FRONTIER』

2021年12月22日(水)発売
初回限定盤/FLCF-4526/4,800円(税込)
フォーライフミュージック

手越祐也 1st ALBUM『NEW FRONTIER』特設サイト

手越祐也『NEW FRONTIER』

2021年12月22日(水)発売
通常盤/FLCF-4527/3,300円(税込)
フォーライフミュージック

手越祐也 1st ALBUM『NEW FRONTIER』特設サイト

手越祐也「モガケ!」

2021年12月15日(水)配信
フォーライフミュージック

手越祐也「ONE LIFE」

2021年11月24日(水)配信
フォーライフミュージック

手越祐也「ウインク」

2021年10月13日(水)配信
フォーライフミュージック

手越祐也「LUV ME, LUV ME」

2021年9月22日(水)配信
フォーライフミュージック

手越祐也「ARE U READY」

2021年8月18日(水)配信
フォーライフミュージック

手越祐也「シナモン」

2021年7月7日(水)配信
フォーライフミュージック

Live Information

スペプラ手越FES.2022
@パシフィコ横浜 国立大ホール
5/11(水)17:30 open/18:30 start(予定)
出演:手越祐也、BLUE ENCOUNT、KANA-BOON
5/12 (木) 17:30 open/18:30 start(予定)
出演:手越祐也、キュウソネコカミ、KEYTALK

PROFILE手越祐也(てごし・ゆうや)

1987 年 11 月 11 日生まれ
神奈川県横浜市出身

15歳でジャニーズ事務所に入所し、2003年9月のデビューから2020年6月独立までの約17年間
男性アイドルグループのメンバーとして活動。
在籍期間中、歌手活動だけでなく、「FIFA クラブワールドカップ」「FIFA ワールドカップ」でメインキャスターを務め、人気バラエティー番組へのレギュラー出演、俳優など幅広く活動。

フリー転身後は、自身のTwitter、Instagram、YouTubeチャンネルなどのSNSを開設。
2021年7月からは6ヶ月連続新曲配信などアーティストとして精力的に活動
 7/1  1st Digital Single 「シナモン」
 8/18  2nd Digital Single 「ARE U READY」
 9/22  3rd Digital Single 「LUV ME, LUV ME」
 10/13 4th Digital Single 「ウインク」
 11/24 5th Digital Single 「ONE LIFE」
 12/15 6th Digital Single 「モガケ!」
2021年9月にソロとして初の東名阪ツアー「手越祐也 LIVE TOUR 2021【ARE YOU READY?】をスタート
2021年12月22日1stソロアルバム『NEW FRONTIER』リリース
2022年1月には全国ツアー「手越祐也 LIVE TOUR 2022 NEW FRONTIER」8ヶ所14公演を実施。
    5月には「スペプラ手越FES.2022」を開催。

手越祐也×『NEW FRONTIER』

7月から始まった6ヶ月連続デジタルシングルリリースで、毎回コンセプトの違う楽曲の”6人の手越祐也”に迫ってきたencore。今回はその集大成となる手越祐也自身のプロデュースによる1stソロアルバム『NEW FRONTIER』、全12曲に徹底的に迫る!

手越祐也×『NEW FRONTIER』

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