ぷくとるは小学校に入り少し落ち着いた5月、和太鼓教室に入ることにしました。
で、7月くらいから年度末(来年の3月ね)に行なわれる発表会の練習をすることになりました。
 和太鼓にもいろんな種類があって、一般的な長胴太鼓、小さめの締め太鼓、肩から吊るして打つ桶太鼓、とっても大きな大太鼓とあるわけです。発表会の楽曲はそれぞれのパートに分かれてドンドコ打つわけです。この太鼓教室の凄いところは年齢にかかわらずなんでもやらせること。大太鼓はぷくとるが精いっぱい腕を伸ばしてようやく鼓面の一番下にバチが当たるくらい高い位置にあるのですが、それでも本人が「やりたい」と言えば打たせてくれるのです。
 桶太鼓も小さなぷくとるが担ぐと太鼓の重さでフラフラ。だけど、打たせてくれるし、ちゃんと打てるようにサポートしてくれるんですね。毎回すごいなぁと思っているわけです。
 で、パートを決める時は立候補制になっていたんですね。
楽譜を渡されて、長、締、桶、大、鳴と書かれていて。
長胴太鼓、締め太鼓、桶太鼓、大太鼓まではわかったんですが、『鳴』がわからん。
「『鳴』は鳴り物、チャッパです」と講師に言われて、この時初めて僕もぷくとるもチャッパというものを知りました。


チャッパとは小型のシンバルのような楽器。
小さいけれどちゃんと大きな音が出ますし、振り付けとかあって非常に動きのある楽器なのです。

 で、「チャッパやりたい人」と講師が言った途端、ぷくとるは飛び跳ねて手を挙げました。(えー)←僕の心の声。


いや、なんかね、そんなにチャッパがぷくとるの心に響いたのかと驚いたのです。
だって、さっき見たばっかりの楽器ですよ?
「よろしくお願いします」の最初の挨拶だって怯えてできないようなぷくとるですよ?
「さようなら」だって講師の顔をまともに見て言えないようなぷくとるですよ?
そんなぷくとるが体育座りしていたのに、本当に飛び跳ねて直立し、手を真っすぐ挙げて「はい!」と大きな声で自己主張したのです。そう、チャッパはぷくとるの琴線に触れたのでした。
 それじゃあ買ってやろうかな。
と僕は思い、帰りに値段を聞きました。
子供用で14000円。
本番用で18000円。
うーん、結構高い。
そして僕は思いました。

なんか作れそうだな。


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で、チャッパを作るべく材料と道具を買ってきました。

ホビーアングル(金床)
ハンマー
真鍮板(8cm)

とりあえず小さなものを練習で作ってみようと。
真鍮をひっぱだけばあんな形になるだろうと思いました。
とりあえず叩いてみてすぐに気づきました。
レールアンビルにすれば良かった。
買ってきたアンビルが軽すぎて(3kg)角の部分とかまるで使えないんです。さすがホビー。無駄に高いものを買ってしまいました。(レールアンビルは半額程度で買えた)

で、カンカン叩いているうちにまた気づきました。
ハンマーの形状が悪い。
ハンマーの角が立っているので角度が悪いと無駄にへこむのです。
形が悪いのであれば形を直せばいい。


ハンマーを削ります。


鳴らしてみるとこんな感じなんですが、
本物だと軽く叩いても響くのです。



この辺まではFacebookのほうで少し話をしたかと思います。
で、このミニチャッパを作ったことで少し要領を得ました。
・焼きなましが必要。
今回作ったものは1ミリの真鍮板でしたが、叩いているうちに硬化してきて、形を変えるために打ち込むと薄くなりました。打ち鳴らすためにはある程度の重さと板の厚みが必要であると考えられるため、厚さを変えずに形を変える必要があります。そのためには焼きなましを入れて金属を柔らかくする必要があります。真鍮は銅と亜鉛の化合物なので、高温に熱して急冷することでなませるはずです。


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と言うわけで、実際のサイズで作ってみることにしました。
6寸ですから18㎝。実際の物は板の厚みが1.3㎜くらいだと思うんです。
とりあえずすぐに入手できる真鍮板が1㎜と2㎜のしかないので、1㎜の板を購入し専用のハサミで切って丸くしました。

コンロで火入れし、焼きなまします。
お店のガス台なので高火力です。

ひっぱだいて形にします。

穴を開けて金具を装着します。

一応鳴るけど響きません





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今回、6寸で作ってみて新たにわかったことがあります。
・形状が重要。
・金具の取り付けも重要。
・当て金が絶対に必要。

・形状が重要
当然なんですが。
鳴りが悪いのは形が悪いから。今回作ったものはへっこんでいる部分が5㎜程度。本物は2cm近く深くへこんでいる。
 実際に打ってみるとわかるんだけど、音が出ているのは周りの羽の部分。
反響しているのはドーム状の部分。
いくつかのチャッパを見てみたんだけど、どのチャッパもすり合わせはできている。
だけど、いい音が出ているのは羽の部分に若干の傾斜がついているもの。(全然わからないと思うのでごめんなさい。僕の感覚的な捉え方です)

・金具の取り付けも重要
金具を取り付ける前はそこそこ鳴っていたと思ったんですが、金具を取り付けたら鳴らなくなった。しばらくそのまま使っていたが別に気になる部分が出てきて、そこを修正するために叩いたら金具の形が変わった。そしたら音が良くなった。同じくらい金具を取り付けて中心が取れているかがかなり重要であると思う。(理由はわからないけれど相当大事)

・当て金が絶対に必要
6寸を作ってから色々と動画を見ました。主に銅鍋や銅製のコブレットを作る動画です。一枚の銅板をたたき出して製品を作るわけですが、その中で出てくるのが『当て金』。実際に作っていて、平面だけだとどうにもへこませられなくて、お店のなかにあるガス管なんかを利用して作ったんです。どうしたらいいんだろう?って思っていて。そんなのがあるんですね。

検索したらスンゲー高価。(一本数万円)
本当に必要な職人さんは自作するらしい。

代用できるものはないかと思って。

候補はボルト。
だけどボルトは鉄。
打つハンマーは鋼。
ボルトは鋼に負けて変形する。
それでは金床としての意味はなく。

じゃあ、バール。
だけど形が悪い。
それなりに打つ場所を確保できるだけの大きさのバールはかなり高価。

で、バールみたいなものってないかなぁ~って思って、いろんな記憶を辿って出てきたのが犬釘。
犬釘って線路を枕木に留めるための釘です。
鉄道の重要保安部品であるから厳しい規格があるはずで、強度は保証されている。
調べてみると用途に分けた犬釘があるようで、用途に分けた当て金を作れそうだ。
素人がいろいろ作るには必要十分だと思う。

職人さんは何十本も当て金を持っているみたい。必要だから。それはなんとなくやっててわかった。

フリマサイトで新品の色んな種類の犬釘を詰め合わせで格安販売(だと思う)しているのを見つけたので速攻購入した。鉄道マニアの方が大切にしていた物らしい。道具として大切に使うから許してね。

これが買ったいぬ釘。
色々と違って加工しやすそうだ。
えっとね、写真は後で公開すると思います。
公開し忘れる可能性も高いと思います。


これを固定するのに木台(もくだい)重量があって硬い丸太や木隗も必要で、そのための木材を現在捜索中です。中古の枕木も悪くないなぁ。(中古の枕木を販売する業者を発見した)


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とりあえず犬釘を加工しながら丸太(木台)を探しつつ、チャッパの三号機の制作をしたいと思います。
ええ、完全に趣味でやっていまして、完全にお金出してチャッパ買った方が安いくらいのお金を拠出していますのでゆるーい目でみてやってください。



取り合えず“ちゃんと鳴るチャッパ”を作るまで緩く続けていきたいと思います。